ぎふベジ通信

大根でフレンチフライ!
岐阜産の甘〜い「春だいこん」で

唯根命美(日本サンドイッチ協会会長)

2022.2.28

これから旬を迎える春だいこんを、いつもと違う料理で。カリカリの「大根フレンチフライ」、なますにした大根がアクセントになるサンドイッチ「バインミー」をご紹介します。

ポテトの代わりに大根で

岐阜市では清流長良川とその流域の恵まれた砂壌土など、自然豊かな地理的条件を背景に農業が活発に行われています。長良川流域のきめ細かい砂壌土は大根栽培に適しており、ビニールハウスを活用して栽培される「春だいこん」は、肌が白くて見た目が美しく、甘みがあってみずみずしいと市場からも高い評価を受けています。「優等生」「桜風」「つや風」など品種も様々。それぞれに特徴があり、それぞれ魅力的です。

春だいこんはサラダスティックや大根おろしなど、生で食べるのがオススメとのことですが、せっかくの美味しい大根! いつもの料理ではなく、今回は少し珍しいレシピをご紹介しようと思います。

ずばり「大根フレンチフライ」!
実はこれ、海外のお料理サイトなどでも見かけるのですが、じゃがいもに比べるとカロリーがかなり抑えられるため、健康志向の強い方は大根版フレンチフライを作っているのです。揚げ物は食べたいけど、太っちゃうし……なんて気にしている人にはぴったりのレシピです!

大根フレンチフライ。水分が多いため時間が経つとしんなりしてしまうので、熱々のうちに! 

大根フレンチフライ

さらにカロリーを気にする人はエアーフライヤーを使って調理する方法もありますが、今回はよりカリカリの食感に、そして甘みを引き出したいのでしっかりと油で揚げました。

材料(作りやすい分量)

大根 300g(約1/4本)
醤油 大さじ1
ガーリックパウダー 小さじ1/2(なければ、すりおろしニンニク)
小麦粉 30g
片栗粉 大さじ2
揚げ油 適量
塩 (オススメは「ろく助塩」の中あら塩)
黒胡椒

作り方

1 大根は皮をむいて輪切りにし、0.5cm幅の細切りにする。ボウルに入れて醤油、ガーリックパウダーを揉み込み10分置き、出てきた水気を軽くきる。
2 1のボウルに小麦粉を入れて混ぜる。片栗粉を周りにからめ、180℃に熱した油で、最初は中火、最後は強火にして3〜4分カリッと揚げる。
3 熱いうちに、塩、黒胡椒をふりかける。

ポテト大好きの私ですが、周りはカリカリで中は甘みのある柔らかい大根がクセになり、これはこれでアリなんです。お好みでパクチー(みじん切り)やチリパウダーをかけてもアクセントになって美味しいですよ。

大根のサンドイッチ、バインミー

さて、大根の起源は地中海地方とも言われています。私が以前住んでいたイギリスでは15世紀に入ってから栽培が始められたとのことですが、日系やアジア系のスーパーで見かけるくらいで、正直そんなにポピュラーな野菜という印象はありませんでした。でも近年は特にヘルシーな野菜としてイギリスでも需要が増えているようで、「Mooli(ムーリ)」という表記で時々現地のスーパーで売られています。

日本のものと比べると、少し小さくて柔らかめのムーリ。代役としては十分なのですが、日本の大根と比べてしまうと、加熱用野菜のため、そのまま食べて甘くて美味しいという感じではないのです。日本の大根は、生で食べたり、煮たり、焼いたり、どう調理しても美味しくて、日本のお野菜は本当にすごい、と痛感します。

イギリス在住中に様々なサンドイッチを食してきた私ですが、大根を使ったサンドイッチの代表的なものといえばベトナムのサンドイッチ「バインミー」です。最近は日本でも専門店が多く、かなり有名になりました。歯切れのよいソフトなバゲットに馴染みのある「なます」が入っているため、日本人でも食べやすく、ハマっている方も多いはず!です。

ベトナム生まれの「バインミー」には、ヌクマムを加えたなますを使用。

バインミー

材料(お好みの量で)

フレンチバゲット
レバーパテ(市販)
ハム
なます(下記参照)
パクチー各適量

作り方

バゲットは切り込みを入れて軽くトーストし、レバーパテをこんもりと塗り、ハム、なますを軽く水分を切ってからはさみ、パクチーをのせる。

なます

材料(作りやすい分量)

材料(作りやすい分量)
大根 300g(約1/4本)
人参 60g(約1/4本)
塩 小さじ1/2
甘酢
 純米酢 大さじ3
 砂糖 大さじ1・1/2
 ヌクマム(ベトナムの魚醤、ナンプラーでも可) 大さじ1/2

作り方

1 大根と人参は皮をむいて輪切りにし、0.3cmほどの細切りにする。塩をふって揉み込み、5分置いて水分をしっかり絞り、保存袋に入れる。
2 甘酢の材料をよく混ぜて砂糖を溶かし、1に入れて軽く揉み、冷蔵庫で一晩漬け込む。

大根、人参を均一に切り揃えるのがコツ。

お好みで、辛味のあるシラチャーソースなどを加えても美味しいですし、具材はレバーパテやハムに限らず、お好みのものに変えてもよいです。パクチーを抜けばお子様にだってお勧めです!

これからが春だいこんの美味しい季節。なますをたくさん作った時に、後からでもよいのでヌクマムで風味付けをして、このバインミーを作ってみてください!

唯根命美(ゆいね・めみ)

東京生まれ。成城大学卒業後、渡英。ロンドン在住中にイギリスで絶大な人気を誇るシェフの料理番組アシスタントとして、料理やスタイリングを学ぶ。現在は、雑誌や本・広告・イベント・レシピ開発など多岐にわたって活躍中。 2015年に日本サンドイッチ協会を設立し、イギリス時代に出会った様々な世界のサンドイッチを広める活動をしている。著書に『北欧生まれのおもてなしサンドイッチ ケーキイッチ』がある。
http://www.memistyle.com

大根のモノガタリ(2) 

松本栄文(日本食文化会議会長)

重量のある大根は、流通の都合から大都市近郊の町家のすぐそばで栽培が盛んになりました。関東では、亀戸、大蔵、練馬、三浦といった土地で、それぞれの大根文化が花開きます。

長屋が軒を連ねる下町亀戸では、種を植えてから収穫までに時間が短く、根も葉も食べられる「亀戸大根」が登場します。人口が多い世田谷では、肉質が硬く煮しめに適した「大蔵大根」、空っ風が吹く練馬では、上から下までほぼ同じ太さでたくあん作りに適した「練馬大根」、火山灰が降り積もり痩せた三浦半島の大地では、瑞々しく、正月のなますに適した「三浦大根」が盛んに栽培されました。

円錐形で直径15cmにもなる京都の「聖護院大根」は、辛みが少なく甘みが強いのが特徴。肉質は極めて軟らかく、煮大根に向きます。世界一の大きさを誇る鹿児島の「桜島大根」は、肉質は緻密で軟らかく、こちらも煮大根に。愛知の「守口大根」は長さ世界一。直径約3cmの細さで130cmの長さがあります。肉質は緻密で硬く、辛みが強いため、漬物に用いられてきました。

多くの野菜の中のでも特に、大根の味わいは風土から作られます。だからこそ日本各地に100を超える在来品種が存在し、それぞれに個性があるのです。

次回は、全国的に流通量が多く、岐阜でもいち早く栽培を始めた「青首大根」に続きます。

「ぎふベジ」とは?

岐阜市近郊の5市3町(岐阜市・羽島市・山県市・瑞穂市・本巣市・岐南町・笠松町・北方町)で採れる、安全・安心にこだわり抜いた特産農産物の愛称です。
https://gifuvege.jp

ぎふベジ研究所にて、オンラインシンポジウムを開催しました

日本食文化会議ぎふベジ研究所では、枝豆、大根、柿、トマト、葱の各ラボを立ち上げ、メンバーたちが改めてそれぞれの野菜に向き合っています。この1月、2月にオンラインシンポジウムを開催。
大根ラボの様子は下記よりご覧いただけます。
https://www.youtube.com/channel/UC1VjMNG4-XiXGkEVqG57zmQ

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