酒肴の時間

北海道のカニ4種類を食べ比べ!

魚部(小川貢一、うすいはなこ、佐藤容紹)

2021.11.12

写真は上からタラバガニ(脚)、毛ガニ、花咲ガニ、中央がズワイガニ。日本人におなじみのカニは水温が低い海底に生息するため、日本での水揚げは北海道が一番。蟹卸問屋「加藤水産」の特選四大蟹セットが届いたら、お酒の席が華やぐこと間違いなし。

北の海と、加藤水産のこと

岬にある小さな漁港。いかにも北海道らしい風景だ。

北海道でのカニ漁は、伝統のカニ籠を使ったものが中心。

一言でカニといってもさまざまな品種がある。北海道は日本海や太平洋、さらにオホーツク海やベーリング海といった北の漁場へも漁に出られる立地にあり、カニの種類により漁期も違えば水揚げされる港も変わる。

オホーツク海ではズワイガニが11~3 月、タラバガニが春先や秋から冬にかけて。通年楽しめる毛ガニはオホーツク海や太平洋の北方で水揚げされ、根室では夏から秋にかけて花 咲ガニ漁が盛んになる。

カニの加工・販売業者は、拠点を港の近くの置くというのが一般的だが、1963 年に創業した加藤水産は摩周湖に近い弟子屈(てしかが)町にある。釧路、根室、網走の3 つの港町のちょうど中間地点に位置しているため、カニの集積地として1 年を通してカニが集まっ てくる。

水槽からあげたばかりの生きたカニをゆでる。使用するのはミネラル分の多い山の水と、独自にブレンド する2種類の塩。

それぞれの港から仕入れたカニは、自社の水槽にいったん放流した後、ゆで場で生きたま ま湯に通す。ゆでる際は、摩周湖近くの山の水を使用。ゆでたカニは冷水で身を締めてう まみを封じ込め、流水で洗って汚れと臭みを取り除く。

父親が興した加藤水産を切り盛りする加藤兄弟。工場を仕切るのが弟の雄二さん(右)。兄の敏明さんは ネットショップ「北国からの贈り物」を立ち上げ、これまで飲食店にしか流通していなかったカニを個人 消費者に直接届けている。



蟹4種類をどう食べるか?

加藤水産の「特選四大蟹セット」をあけてみる。大きな段ボールが冷凍便で届き、カニ4種が入っている。なかなかの迫力だ。冷凍ガニを食べる上で、大切なのは解凍方法。水がでることも考慮し、バットにおいて前日から冷蔵庫で解凍すること。常温解凍ではなかなかうまくいかない。

[1]ズワイガニ
冬の味覚の王様である。兵庫、京都、鳥取では松葉カニ、福井では越前カニ、石川では加能カニと呼ばれる。刺身や、塩ゆでをそのまま、しゃぶしゃぶ、寿司ネタなどで食し、焼いてもおいしい。上品な旨みと甘味があり、とげが少ないため、取り出しやすいのも特徴。ズワイガニはそのまま食べるのが一番。酒のアテにするならば、冷たすぎるのはよろしくないので、蒸し器などで常温くらいに温めたほうが味わいを感じることができる。

[2]毛ガニ
全身に剛毛が生えていて、名は体を表す典型的なカニである。身肉は水分が多いがおいしく、特に「カニ味噌」が他の種よりおいしい。北海道では資源保護のため、オスだけを捕獲し、メスは放流している。もちろんそのまま食べても美味であるが、ぜひ、身をカニ味噌で和えた「味噌和え」を味わってほしい。身の水分が多い場合は、身をほぐし、フライパンなどで乾煎りすると味わいが濃くなる。
甲羅についたカニ味噌に熱燗を入れて、甲羅酒にするのもよいが、剛毛には注意。

カニの身をカニ味噌で和えた「味噌和え」。冷酒もいいし、熱燗もよい。


味噌が少なかったら酢の物で。カニ酢や三杯酢などは使わず、ぜひ柑橘をひとしぼりしただけで食して欲しい。冷たい酒にもよく合う。

カニの身と細切りのきゅうりを合わせ、すだちをひと搾りした一皿。爽やかな味わいの中にカニの甘味が 引き立つ。

[3]タラバガニ
英名King Crab と呼ばれるタラバガニは、厳密にはカニの仲間ではなく、ヤドカリに近い種。カニ類とは身質もちがい、プリプリとした弾力がある。味わいは塩味より甘味を強く感じる。最近は漁獲量が減り、とても高値で流通している。鱈漁をしていると網にかかってくるため、鱈場(タラバ)という名前がついた。
この大きさは食べごたえがある。ぜひ焼きカニにしてほしい。オーブントースターや魚焼きグリルで表面を焼き、水分を飛ばして、しっかりとした甘さと歯ごたえを感じながら、お酒でながしてほしい。

旨みがギュッと凝縮。好みの柑橘を搾って。

[4]花咲ガニ
根室の花咲港で多く水揚げされることからこの名前がついている。タラバ同様、ヤドカリに近い種で、漁獲量は少ない。このカニの魅力は甲羅の内側につく卵。時期にもよるが入っていればラッキー、ぜひそのまま味わおう。
花咲ガニは鋭い棘をもっているので、さばく時は軍手などをして、手を怪我しないよう先に身をとってしまうほうがよい。酢の物や、味噌汁などに入れるのもよい。
カニの身は淡白な味わいのものが多いので、身から味わい、味噌にいって、酒とカニをあわせる贅沢を堪能してほしい。

■カニの問合せ:北国からの贈り物
TEL. support@kitaguni.tv
https://kitaguni.tv

小川貢一(おがわ こういち)

築地魚河岸三代目、鮮魚販売方法・商品作りアドバイザー。もと仲卸ならではの豊富な知識と、素材を生かしたアイディア満載の料理に定評がある。魚のプロとして、企業や自治体主催の講演、さまざまなメディアに出演。著書に『築地魚河岸三代目 小川貢一の魚河岸クッキング』など多数。

うすいはなこ

料理人。日本料理、食文化講師。博物館設計の仕事を経て日本料理店で修業した後、独立。「H-table 料理教室」主宰。季節や行事食、食卓文化を伝えながら、地元江戸料理の研究、地域の特色ある魚食文化を残す活動をしている。著書『干物料理帖』は 2021 年グルマン世界料理本大賞でグランプリ受賞。

佐藤容紹(さとう ひろつぐ)

地域創成プロデューサー。魚屋店主。長年一次産業に関わる傍ら、古来の日本食文化と伝統にある本質と原理原則を学ぶ機会に恵まれた。水産業・農業・伝統工芸品・キャンプなどさまざまな角度から地域に関わり、経済的、社会的な活性化をさせるための活動を行っている。

今宵は、
このお酒で。

  • 開拓の魂宿る北海道の酒、金滴酒造

    金滴 純米吟醸/金滴 大吟醸33
    明治39年に創業した金滴酒造は、この町の歴史と切っても切れない関係がある。

    蔵のある新十津川町は、明治22年に大水害で全村全滅した奈良県吉野郡十津川村の村民が、北海道への移住を決意し、600戸1300人が集団移住。神戸港から海路、小樽を経て、ここに新しい十津川を、という思いで一歩を踏み出した地だ。

    10年間は断酒を誓い、原野の開墾にまい進。16年後、田畑もある程度豊かになり、大地に実った米を使った酒を飲んでもよいとなったのを機に、明治39年9月10日、金滴酒造の前身となる新十津川酒造株式会社を設立した。北海道酒造業界初である。

    「金滴」の名は、神の山と崇めるピンネシリから流れる砂金川の水「金の流れの滴」から。お酒は、地元町民が苦労して開墾した、北海道の大地に育つ米にこだわっている。

    「金滴 純米吟醸」は、ワインの世界で名高いワイン評論家、ロバート・パーカー氏のパーカーポイント91点を獲得。ワインのマーケットに強烈に訴求できるタイトルだ。「金滴 大吟醸」は、米を33%まで磨き上げて雑味を抑え、大吟醸特有の華やかな香りを堪能できる。

    もともと日本酒はワインやビールよりも魚介類との相性がよいと言われている。地域の食材とのペアリングを考えても、北海道地方のカニと、金滴酒造のお酒の相性は抜群だ。ぜひ北海道の大自然を開墾したロマンの酒を、新鮮な魚介と共に、ゆったりと味わってほしい。

    お問合せ

    金滴酒造HPhttp://www.kinteki.co.jpTEL0125-76-2341

文・平出淑恵(酒サムライコーディネーター)
http://coopsachi.jp/

撮影・板野賢治(カニと料理)

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