日本おこめ大学のカリキュラムCURRICULUM
本学では、座学・ワークショップ・試食等を通じて、多様な視点から歴史と文化を紐解き、御米の炊き方や食味比較等の実践的な技能を身に着けます。さらに、他の食材とのマリアージュについて理解し、御米の魅力を再発見していきます。
スケジュール概要
- 開講スケジュール
- 入学式
- 4月19日(日)10:30~12:00
- 講義
- 各日とも 13:30~15:30 /16:00~18:00
- 4月19日(日)
- 5月10日(日)
- 5月24日(日)
- 6月7日(日)
- 6月21日(日)
- 7月5日(日)
- 7月19日(日)
- 8月2日(日)
- 8月9日(日)
- 8月23日
- 資格認定試験
- 9月27日(日)13:30~18:00
- 開講期間:
- 2020年4月~9月(第1期)
隔週・日曜日開講 13:30~15:30 /16:00~18:00
※課外授業を除く - 開講場所:
- 東京・渋谷セルリアンタワー東急ホテル・ほか
カリキュラム
CURRICULUM
総論
お米学
お米についての総合的な知見を養います。
お米の歴史学 ~米食文化論(日本史)~
- 担当
- 松本 栄文(学長/教授)
- 日程
- 4月19日(日)13:30~15:30
- 内容
- 日本人と稲作文化のつながりを学ぶ。神話『古事記』の世界から、御飯を食べる作法に至るまでの話を紐解きます。
お米の歴史学 ~米食文化論(世界史)~
- 担当
- 松本 栄文(学長/教授)
- 日程
- 4月19日(日)16:00~18:00
- 内容
- アジアはナゼ?稲作を選択したのか?小麦と御米との違いを知り、それぞれの食文化を紐解きます。
お米の生産/農学の視点から
- 担当
- 松本 栄文(学長/教授)・ほか
- 日程
- 6月7日(日)13:30~15:30
お米の品種学 ~お米の品種改良と品種特性によるおかずの合わせかた~
- 担当
- 奥田 政行(副学長/教授)
- 日程
- 5月10日(日)16:00~18:00
- 内容
- 2019年3月末現在、900品種が国に登録されているお米。
この内、主食(ごはん)用として多く作られているお米は約290品種くらいとされています。
お米自体の耐久性、より自然環境を考慮した栽培方法、さらに流通や、食習慣と味覚嗜好の変化等々にともない吟味・改良されてきたお米の品種特性と味わいの魅力を、「料理」「おかずとの口中ペアリング」という視点から試食および講師独自に考案した味覚のチャートを用いて品種ごとに検証し認識しながら、お米の消費の回復や国内外を見据えた食生活、食文化への浸透の可能性について考察します。
お米の栄養学
- 担当
- 松本 栄文(学長/教授)・ほか
- 日程
- 6月7日(日)13:30~15:30
各論
ご飯学
「ご飯」について、主に食品学の視点から学び、実践的な技能を身に着けます。
お米の食品学 ~食味考察~
- 担当
- 松本 栄文(学長/教授)・ほか
- 日程
- 5月10日(日)13:30~15:30
- 内容
- 世界中には多種多様な品種が存在し、2つのデンプン質構造を理解することで御米という食材を深化することに通じます。
お米の炊き方講座 お米がご飯に至る工程の検証から「飯学」の食文化への展開を学ぶ
- 担当
- 入江亮子(講師)/うすいはなこ(講師)
- 日程
- 5月24日(日)13:30~15:30/5月24日(日)16:00~18:00
- 内容
- お米料理の提供を行う際の産地、品種別の焚き方。新米と古米、米のブレンド、炊きたてがおいしさ、冷めてもおいしいなど炊き上がり後の変化など、様々な要因による食味(味わい)の違いと、それぞれに向いてるおかずの合わせ方などについて、実食を交えた講義で検証。 さらに、米の蒸らし加減の変化を楽しむことから”飯”を中心に進んでいく茶懐石の”飯”を通し、炊飯から蒸らしによる飯の味わいの変化を食文化に昇華させた、お米に対する日本人の精神性と美学までを学ぶ。
「炊飯」とは何か ~最先端の炊飯器は~コメをどう炊いているのか~
- 担当
- 松本 栄文(学長/教授)・ほか
- 日程
- 6月21日(日)13:30~15:30
- 内容
- そもそも「炊飯」とはどういう行為なのでしょうか。コメを水に浸漬させる意味は? 浸漬させないでもおいしい? メーカーが考えるベストの炊飯手法は? 「IH炊飯器」「圧力炊飯器」などの炊飯器は何が違う? 最近の高い炊飯器はどのくらいおいしい? 土鍋炊きは本当においしい? デンプンの糊化や「ねば」「ノリ」の役割などにも触れながら「日常の炊飯」にまつわる謎を解き明かします。50種類のコメの炊き分け機能を持つ現代の最先端炊飯器が目指す炊きあがりと、その炊きあがりのために必要な加熱と炊飯についての基本的な考え方を紹介。
特論
お米料理学
お米の「おいしさのセオリー」を学び、お米と他の食材とのマリアージュについて知見を深めていきます。
お米の味覚学 ~おいしさの科学から、実践型五味デザインまで
- 担当
- 宮川 順子(教務部長/教授)
- 日程
- 6月21日(日)16:00~18:00
- 内容
- お米やお米料理を考えるなら、まずは人がどのように「おいしい!」と感じているのか?を理解することが必須です。味覚のメカニズムと、おいしさを構成する要素からその組み立て方まで、センス論ではなく理論的に解説します。さらに「おいしさ学」的見地から、メニュー開発に即効役立つ味の設計テクニックをお伝えします。
お米の民俗学 ~郷土料理の起源に迫る~
- 担当
- 松本 栄文(学長/教授)
- 日程
- 7月5日(日)13:30~15:30
- 内容
- 全国各地には様々な餅菓子や雑煮などがあります。それらの起源を知ることで、日本人と御米との結びつきを紐解きます。
鮨.寿司学 ~寿司の歴史と現在、未来~
- 担当
- マッキー牧元(教授)
- 日程
- 7月5日(日)16:00~18:00
- 内容
- 寿司はどこで生まれたのか、ラオスやミャンマーなどを訪ね、今に残る源流の現状の話、寿司文化の渡来から現在に至る歴史。現状の寿司文化最先端、そして未来の寿司の展望と示唆など。
お米と肉のマリアージュ ~コメ品種×畜種と部位と調理法~
- 担当
- 松浦達也(講師)
- 日程
- 7月19日(日)13:30~15:30
- 内容
- 一口に「肉に合うごはん」と言ってもさまざまあります。畜種・部位、調理法によって、合うコメは変わります。ほとんどのごはんに合う黒毛和牛のすき焼きでも、狙いの定め方によって、関西流と関東流では合わせるべきごはんの特徴は変わってきます。そのほか、焼き目も香ばしいステーキ、ほろほろに煮込んだ豚の角煮、身のジューシーな鶏の唐揚げ……。肉料理の特徴をどう分解し、どんなごはんに合わせるか。この2~3年で新しく登場した新品種も含めて、コメと肉料理との相性について、合わせ方の基本を紹介します。
お米とお菓子のマリアージュ ~世界の米菓子を巡る、米・米粉を使った菓子~
- 担当
- 並木麻輝子(教授)
- 日程
- 7月19日(日)16:00~18:00
- 内容
- 我が国には古くから餅菓子や煎餅をはじめ、米を使ったさまざまな菓子が育まれてきました。本講座の前半では日本特有の米菓子の数々とその背景、また上新粉、白玉粉といった米粉の種類やそれらを使った菓子を歴史とともに紹介。後半はヨーロッパ、アフリカ、中東、南米、アジアなど、世界各国の米スイーツについて、各地の郷土性を交えつつ解説します。
お米と野菜のマリアージュ ~品種のセレクトと調理法~
- 担当
- 藤田承紀(講師)
- 日程
- 8月2日(日)13:30~15:30
- 内容
- 米をそのまま食べるのではなく、野菜と合わせた様々な料理で、お米と野菜のマリアージュを実践します。 野菜のピュレのリゾット、トマトと合わせるライスコロッケ、野菜スープの旨味調味料、ドレッシングのとろみづけ、炒ってサラダのアクセント等。また、調理法だけではなく、それぞれの料理に合う米の品種も学びます。
お米と魚のマリアージュ ~魚の風味にあわせた米えらび~
- 担当
- 小川貢一(講師)
- 日程
- 8月2日(日)16:00~18:00
- 内容
- 魚が主役のご飯ものといえば、鮭おむすび、海鮮丼、うな重、鯛めし、深川飯に天茶漬け、パエリア…、あたりでしょうか?焼き魚定食もありますし、もちろん寿司や鮨は別格ですが、それぞれの料理に最適とされるご飯があって、それは脂の乗りや身の柔らかさ、ほぐれ方、それぞれの魚介独特の風味などと米が持つ特性との相性で決まります。それぞれのメニューに何故その米なのか?魚の特質の見極めとマリアージュのコツをお伝えします。
お米と調味化学 ~味付けの要!調味料の評価軸と選定のコツ~
- 担当
- 宮川順子(教務部長/教授)
- 日程
- 8月9日(日)16:00~18:00
- 内容
- おむすびに塩は必須ですが、一言に塩といっても数百種とも千種を超えるともいわれます。和の代表の醤油やみそばかりでなく、洋のお米料理に欠かせないオイルやスパイス、コクを左右する砂糖や味醂などなど、一粒のお米を全く別のメニューに仕上げることができる調味料について、実際に味見をしながらその品質や特徴などを精査し、米料理への展開法を学びます。
お米とお酒 ~食米と酒米の関係。同じ米でもこんなに違う~
- 担当
- 上杉孝久(教授)
- 日程
- 8月23日(日)13:30~15:30
- 内容
- 酒米(酒造好適米)とはなにか?を学び、歴史、主な酒米の特徴、酵母との関係などから、簡単な酒造りも理解できるようにします。
最近では飯米での酒造りも盛んに行わるれようになり、酒米で醸した場合との違いから、酒米と飯米の違いがさらに明確になります。
特論
お米のマーケティング
マーケティングの視野から見た、現代の「お米」最新事情に迫ります。
お米のマーケティング論 ~ブランド米と日本人の50年。コシヒカリ&ササニシキから最新ブランド米まで~
- 担当
- 松浦達也(講師)
- 日程
- 8月9日(日)13:30~15:30
- 内容
- 「コメ離れ」と言われて久しい現代、単価も消費量も下落が続いています。しかしそんななか、新品種も続々登場していますし、前年より高単価で出荷されるブランド米にはある共通項があります。一時期存在感を失っていたササニシキの復権や、向かうところ敵なしだった魚沼産コシヒカリの「特A」落ちなど、名ブランド米の栄枯盛衰も激化するなか、デビュー直後から人気を博す、近年の品種の傾向とは。地球温暖化が進み、適作地が北上しつつあるいま、日本穀物検定協会の「食味ランキング」の傾向の変化や、消費者の嗜好の細分化も考察します。
その他
認定試験に関するオリエンテーション
- 日程
- 8月23日(日)16:00~18:00
認定試験(実技・プレゼン)>
- 日程
- 9月27日(日)13:30~18:00
講師プロフィール
PROFESSORS
- 松本栄文
- JFCF理事長/花冠「陽明庵」主人/作家/
花冠「陽明庵」主人、作家。著書『SUKIYAKI』では料理本アカデミー賞と称されるグルマン世界料理本大賞2013「世界№1グランプリ」を受賞。『日本料理と天皇』では同世界大賞2015の最高位「殿堂」(HALL OF FAME)に輝き、続く創設20周年記念祭典「創設最高賞」をW受賞。『1+1の和の料理』では同世界大賞2017「世界№1グランプリ」を受賞し、創設史上、世界最多の四冠制覇の偉業をなした。
- 奥田政行
- アル・ケッチァーノ オーナーシェフ
1969年、山形県鶴岡市生まれ。高校卒業後に上京して修行し、2000年「アル・ケッチァーノ」を独立開業し、全国に多様な店舗を展開する。 2010年11月 - 日本の農林水産省より「第一回料理マスターズブロンズ賞」を受賞。 2012年11月 - ダライ・ラマ14世に謁見。山形県産米「つや姫」を送った。つや姫の発芽玄米をその場で食してもらい「ベリーグッド」と喜んでもらった。その後『つや姫親善大使』としてつや姫の魅力を広め、販路開拓にも尽力。 2017年、「オイル寿司」をひっさげて庄内米とともにイタリアの港町ジェノバへ。庄内で生まれた味は、海外でも大いに好評を博し、終演後スタンディングオベーションへ。
- 上杉孝久
- JFCF副理事長/旧米沢新田藩主/上杉子爵家9代目当主/有限会社佐奈井代表取締役
学習院大学卒業、60年の老舗「日本橋いの上」を継承し、赤坂の料亭、日本酒BARなどを出店。その後、外食産業のコンサルタントとして活動をする。現在日本酒の底辺を広げるために、全国で女性を中心とした日本酒講座をおこなっている。著書『日本史がおもしろくなる日本酒の話』(サンマーク文庫)など。
- 宮川順子
- (社)MIIKU日本味育協会 代表理事/(株)ユーキャン 主任講座講師(調理師、食育実践プランナー、介護食、幼児食)/料理教室「宮川順子のおいしさ学キッチン」主宰
長男のアレルギーを機に、家庭での手作り料理に専念。近隣交流の延長で自然発生的に料理教室を開講。その後「教える」ための専門的知識の必要性を感じ、食関連の様々なセミナーに参加、各種資格を取得。セミナーに参加する中で食の安全にかかわる衝撃的な事実を聞き愕然とし、家族の健康を守る家庭料理の重要性を痛感。安心安全で健康を守る食を広めるため協会を設立。現在は「おいしい」や「健康」にまつわる様々なセミナーやプロ、アマチュアを問わない料理科学講座等で講師を務めるほか、資格試験講座のテキスト執筆、商品開発、食による地域活性なども手掛ける。
- マッキー牧元
- ㈱味の手帖 取締役編集顧問/タベアルキスト
1955年東京出身。立教大学卒。㈱味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。
年間700食ほど旺盛に食べ歩き、雑誌、テレビ、ラジオなどで食情報を発信。「出世酒場」集英社刊ほか著書多数。最新刊は「どんな肉でもうまくする。サカエヤ新保吉伸の真実」世界文化社刊
- 並木麻輝子
- 料理ジャーナリスト/ヨーロッパ郷土料理・菓子・食文化研究家
パリの料理学校ル・コルドン・ブルーの製菓・料理上級課程修了(グラン・ディプロム取得)。二十数年に渡って世界各国で取材した経験を生かし、書籍、雑誌、ガイドブックなどに幅広く執筆。とくにヨーロッパの食文化に精通し、大学、製菓・調理専門学校、カルチャースクールで各国の食文化講座を数多く担当。その他、講演、コメンテーター、番組製作コーディネーター、食品企業アドバイザーなど、食関係のあらゆる分野で活躍中。
- 入江亮子
- 懐石料理「温石会」主宰
四季をいかした懐石料理・郷土料理・精進料理・節句料理を教えるほか、茶懐石の出張、地域の特産品開発、メニュー開発などを行っている。きき酒師・日本酒学講師・酒匠として、日本酒と料理のマリアージュも数多く提案。カルチャースクールなどでの日本酒講座も多数。
グルマン世界料理本大賞2019(ドリンクペアリング部門)でグランプリ受賞。
- 藤田承紀
- 福祉レストラン「らんどね空と海」シェフ
イタリアでの料理修行後に帰国し、野菜を育てる「菜園料理家」として活動。飲食店立ち上げ、メディア出演、レシピ開発、料理学校講師等を行う。
環境省の「つなげよう支えよう森里川海」プロジェクトアンバサダーを務め、同アンバサダーのキャラクターアーティストtaroutとのユニット「Lunny’s veggie」として、持続可能な生活のヒントとなるWSやリユースグッズの開発をしている。
書籍は『野菜のスープ』『野菜のチップス・果実のチップス』。
- 小川貢一
1956年11月3日東京都生まれ。魚河岸の仲卸“堺静”三代目として築地で育つ。高校卒業後、米国へ語学留学し、帰国後、築地“堺静”で働き始める。「ビッグコミック」の人気コミック『築地魚河岸三代目』で、取材コーディネートや料理協力などを含めた監修を担当。築地と魚に関する知識には定評があり、食関連のアドバイザー、プロデューサーとして活躍
- 松浦達也
東京都武蔵野市生まれ。食専門誌から新聞、雑誌、Webなどで「調理の仕組みと科学」「大衆食文化」「食から見た地方論/メディア論」などをテーマに広く執筆・編集業務に携わる。テレビ、ラジオで食トレンドやニュースの解説なども行い、食にまつわるコンサルティングも。著書に『大人の肉ドリル』『新しい卵ドリル』ほか。共著のレストラン年鑑『東京最高のレストラン』(ぴあ)審査員。近年は「生産者と消費者の分断」、「高齢者の食事情」などにも関心を向ける。
米については毎年、友人の実家へと田植えと稲刈りに赴くのが年中行事。この数年は新品種の各産地を訪れ、食味の特徴やおかずとの相性などその傾向にも詳しい。100年前のかまど炊きから最新の炊飯器事情まで「炊飯の仕組み」を科学的にひもとく。